インタビュー:sasakibooks(DJ/プロデューサー)

2017-01-29

 連載「ネット時代のインフルエンサー」第1回は、1ヶ月後にファーストアルバムの発売を控える音楽プロデューサー兼DJ・sasakibooks(ササキブックス)さん。取材の中で明らかになったのは、楽曲制作への深い情熱だけでなく、彼の「音楽」そのものに対する哲学・こだわり、そして日本の音楽シーン全体を俯瞰する冷静な目でした。彼が自作のプレイリスト『SasakiMix』をファンと共有する理由は?そして彼が京都で見つけた「チル」の概念とは?

インタビュー・文=cbm2編集部

sasakibooksの眼鏡

人物紹介:sasakibooks
プロデューサー/DJ

1993年、東京都台東区生まれ。中学で聴いたダフトパンクに影響を受け、自宅にてDTM(※)を用いた音楽制作をスタート。インターネット上での地道な活動が功を成し、2015年10月にYouTubeで配信した楽曲『A boy in the city』は100万回再生を超える大ヒットを記録。しかしライブなど表舞台での活動はなく、その姿は未だ謎に包まれたまま。自身の初となるアルバム『Fish Get Fried』は2017年2月3日(金)に発売
(※)DTM…パソコンを用いた音楽制作のこと。

1st LP
“Fish Get Fried”
sasakibooks - Fish Get Fried
[発売日] 2017/2/3(fri)
[価格] ¥1,800(税込)
[販売元] cbm2.records
[曲目]
1. I went to London last week (intro)
2. Fish Get Fried
3. Sweet Lovin’ feat. Luna
4. 無人島でダンス
5. A boy in the city (2017 style)
6. 春はあけぼの 夏はチル
7. dokidoki of love
8. Fish Get Fried (Club Mix)
9. 春はあけぼの 夏はチル (Chill City Kyoto Remix)
10. Fish And Chips (初回版にのみ収録)

◆

「音楽のビートと恋のドキドキは本質的には一緒だと思う」——sasakibooks

————アルバムすごく良かったです。

sasakibooks:
ありがとうございます。自分でも納得のいく形にできたので、たくさんの人に聴いてもらいたいです。

————今作のテーマは「恋」だとか。

sasakibooks:
はい、そうですね。僕らの界隈だと「恋愛ソングを作るヤツ=ダサい」っていう風潮があるんですが、僕はむしろ逆の考えで。だってみんな恋するじゃないですか。彼らも本当はただ恥ずかしいだけなんだと思うんです。自分の気持ちを曲で表現する。それが音楽の本質じゃないですか。だから僕は正直にその気持ちを曲にして発散する。そっちの方がクールじゃないですか?それに音楽と恋愛って、本質的には一緒なんですよ。作った曲でリスナーのバイブスを上げるのと、デートで女性のテンションを上げるのは同じ原理だし、ドラムでリズムを刻むのも、好きな人の前で心臓がドキドキするのも、同じ「ビート」ですよね。つまり音楽は恋愛なんです。

————それは『Fish Get Fried』というタイトルにも関係していますか。

sasakibooks:
はい。海を泳いでいる魚と畑に埋まっているジャガイモって、普通に生きていたら互いの存在を知らないまま一生を終えるじゃないですか。でも、そんな出会うはずのなかった2つが、「揚げられる(=”Get Fried”)」というアクションを起こすことによって、「フィッシュアンドチップス」という1つの料理になる。これって恋に似ていると思いませんか?それまで何の縁もなかった男女が、ちょっとした出来事をきっかけに知り合い、そして恋に落ちる。つまり恋愛とフィッシュアンドチップスって、本質的には同じなんですよ。

————「音楽と恋愛は一緒」、「恋愛とフィッシュアンドチップスは一緒」、つまり…。

sasakibooks:
はい、音楽とフィッシュアンドチップスは一緒なんです。つまり『Fish Get Fried』というタイトルは、実は「音楽そのもの」を意味しているんですよ。

◆

「好きな曲を詰めたプレイリストは、昔でいう『ミックステープ』みたいなもの。だからここから始まる恋もあるんじゃないかな」——sasakibooks

————実は今回の連載のテーマは「これからの音楽とコミュニケーション」でして。sasakibooksさんは楽曲制作の他に、「SasakiMix」という名のプレイリストを作り、ファンに向けて公開していますね。

sasakibooks:
はい、まあ自分の好きな曲をまとめただけなんですけどね(笑)。ただファンの方々にはなかなか好評でして、「いい曲に出会った」のような感想を貰うだけじゃなくて、逆に「こんなのもありますよ!」と曲を紹介してくれることもあったりして、結構楽しくやってます。

SpotifyのSasakimix
写真:音楽視聴アプリSpotify(スポティファイ)より、プレイリスト「SasakiMix」。世界のダンスミュージックを集めた「The SasakiMix」と、J-POPのみで構成された「SasakiMix Japan」の2種類がある

————では、そもそもどうして「プレイリスト」という形でファンとのコミュニケーションを取ろうと思ったのでしょうか。

sasakibooks:
実はそれはある出来事がきっかけで。先日家の大掃除をしていたときにたまたま見つけたものなんですが…。

1987年に作られたSasakiMix
写真:彼が父の書斎から発見したという「SasakiMix」と書かれたカセットテープ。隣に添えられた日付から、1987年に録音されたことが分かる

————あ!

sasakibooks:
(父親にこのテープについて聞いてみたところ、)恥ずかしがって詳しい背景までは教えてくれなかったんですが、当時はネットもスマホも無かったので、こうやってカセットテープに色んな曲を入れて自作の「ミックス」を作っていたそうなんです。これって、今でいう「プレイリスト」と一緒ですよね。友達に自分のお気に入りの曲を録音したミックステープを渡すように、好きな曲をまとめたプレイリストを共有する。時代が変わって、音楽の聴き方が変わっても、それを聴く「人間」という媒介はずっと変わらないんだなと気付かされました。つまり『SasakiMix』は、当時のミックステープを、現代風に「リミックス」させたものなんです。だからプレイリストから始まる恋もあっていいと思うんですよね。

1987年版SasakiMixの曲目
写真:「元祖」SasakiMixの曲目。80年代・70年代の洋楽ヒットがずらりと並ぶ

sasakibooksのデスク
写真:sasakibooks氏のPCデスク。SasakiMixはここで作られている

◆

「世の中は目まぐるしいスピードで動いている。だからこそ『chill(チル)』が大事なんじゃないかな」——sasakibooks

————また今回のアルバムの6曲目『春はあけぼの 夏はチル』を始めとして、「チル(chill)」という言葉がいくつか見受けられます。聞きなれない言葉ですが、これはどういう意味ですか。

sasakibooks:
えっと、ちょっと一言で説明するのが難しいですね。そもそも今作に「チル」の要素を多く取り込んだのは、去年の9月に1人で行った京都旅行で「チル」を感じたからでして…。あ、ちょうどインスタに当時上げた旅行記の動画がありました。こちらを見てもらえれば分かると思います。

@sasakicityboy on

動画:同氏が京都旅行で「chill(チル)」した様子(インスタグラムより)

————なるほど。つまり「チル(chill)」とは「まったりする」だとか「リラックスする」のようなニュアンスを含む言葉と解釈すればいいですね。

sasakibooks:
はい、そんな感じです。世の中は少し忙しすぎると思うんです。だからこそこういう「チル」な時間が大事になるんじゃないかと思っています。そういう思いも込めて、今作にはこのようなリラックスできる曲もいくつか収録しています。

————では最後に読者の方々、ファンの方々へ向けて一言お願いします。

sasakibooks:
『Fish Get Fried』は僕にとって初めてのアルバムになります。最近はYouTubeとかで1曲単位で音楽を聴くことが多くなって、なかなかアルバムを1枚通して聴く機会が無くなったと思うんですけど、そういう方にも聴きやすいような作品にしたので、ぜひ聴いてみてください。飽きたらSasakiMixの方もぜひ(笑)。リクエストなども受け付けていますので、アルバムの感想などと合わせてお待ちしています。

————ありがとうございました。

【編集後記】
 温厚な見た目や優しい曲調とは裏腹に、誰よりも冷静な目で音楽と向き合っていたsasakibooksさん。果たして彼はこれからの音楽シーンにどんな影響を与えていくのでしょうか?今後の活躍を要チェック!

(再掲)
1st LP
“Fish Get Fried”
sasakibooks - Fish Get Fried
[発売日] 2017/2/3(fri)
[価格] ¥1,800(税込)
[販売元] cbm2.records
[曲目]
1. I went to London last week (intro)
2. Fish Get Fried
3. Sweet Lovin’ feat. Luna
4. 無人島でダンス
5. A boy in the city (2017 style)
6. 春はあけぼの 夏はチル
7. dokidoki of love
8. Fish Get Fried (Club Mix)
9. 春はあけぼの 夏はチル (Chill City Kyoto Remix)
10. Fish and Chips (初回版にのみ収録)

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